大阪高等裁判所 昭和28年(ネ)260号 判決
控訴代理人は、「第一審判決を取り消す、控訴人が昭和二七年六月二六日訴外丸和復興株式会社に対する県税滞納処分として原判決添付の物件目録記載の物件につき和歌山地方法務局長になした差押登記の嘱託を同法務局登記官吏が却下の決定をしたのに対し不動産登記法第一五〇条によつてなした異議申立につき被控訴人が同年七月一五日これを却下した決定はこれを取り消す、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」という判決を求め、被控訴代理人は、主文と同旨の判決を求めた。
当事者双方の事実上の陳述は、被控訴代理人において、訴外丸和復興株式会社の本件滞納県税は昭和二八年四月一六日までに全額収納せられたと述べ、控訴代理人において、右滞納県税全額収納の事実を認めると述べたほか、原判決の事実摘示と同じであるから、それを引用する(各証拠省略)。
三、理 由
控訴人主張の請求原因事実の要旨は、控訴人は、昭和二七年六月二六日、和歌山地方法務局に対し、和歌山県が訴外丸和復興株式会社に対する入場税総額三百八万五千三百九十二円につき、滞納処分として、同会社所有の原判決添付物件目録記載の不動産に対する差押登記の嘱託をしたところ、同日、同局登記官吏羽根忠治は右不動産に対しては、昭和二六年八月二〇日受付第八〇三号原因同月八日市税滞納処分により、権利者和歌山市のため差押登記がなされており、同一物件に対する二重の差押登記はできないからとの理由で、控訴人よりなした右登記の嘱託を却下したので、控訴人は、更に被控訴人に対し、昭和二七年七月一日、右登記官吏の処分を不服として、不動産登記法第一五〇条により、異議の申立をしたところ、被控訴人は同月一五日控訴人の右異議申立を却下したが右却下決定は違法であるから、右決定の取消を求めるというにあるところ、訴外丸和復興株式会社の本件滞納県税は本訴提起後昭和二八年四月一六日までに全額収納せられたことは、当事者間に争のないところであるから、控訴人としては、右滞納県税全額収納によつて、もはや本訴を維持する利益を失つたものといわねばならない。
そうだとすると、控訴人の請求を排斥した原判決は、結局において、相当であるから、民事訴訟法第九五条第八九条を適用して主文のとおり判決をする。
(裁判官 林平八郎 竹中義郎 入江菊之助)